第十登 「筑波山」2012年1月27日



時には無理をしないことで
事態が好転することだってある。

何日か前から山登りの計画を立てていたが、
仕事が終わらない、大雪が降る、
山仲間のチャッチーさんまで仕事が入ってしまったと言う…

「明後日は中止にしよう」  

残念だがこれでじっくり仕事ができる。
そう思うと気が楽になり、
今まで進まなかった仕事があっという間に片付いてしまう。
 それに呼応するようにチャッチーさんから連絡が入る。

「明日仕事なくなった」

これは偶然ではない、必然だ。
山が我々を呼んでいる。


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 メンバー:R16、チャッチーさん、Uさん
 天候:晴れ
 気温:−4度〜8度
 登山ルート:白雲橋コース〜女体山〜男体山
       御幸ヶ原コース
所用時間:登り3時間10分 下り1時間25分
歩数:13,078歩
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AM 5:30
 
 記念すべき第10登。
今回は僕の我がままで日本百名山の「筑波山」を目指す。

茨城県に入ったあたりで朝日が登る。
山と同じで何度見ても美しい光景だ。


筑波山が正面に見えてきた。
平野にぽつんと突き出た山。
この山には特別な“何か”を感じる。


AM 8:10
駐車場に到着。

昨年「塔ノ岳」を一緒に登ったUさんが再び参加してくれた。

まずは筑波山神社にお参りをしてから登山口を目指す。




今回は「白雲橋コース」から女体山山頂を目指す。
筑波山神社から向かって右側へ少し歩くと鳥居があり
ここが白雲橋コースの入口だ。
コース距離は2.7Km。

ちなみに、チャッチーさんは昨年一人で筑波山を登り、
いきなりコースアウトしてプチ遭難を体験している。
登山コースは事前にきちんと調べないと大変なことになる。
(筑波山で遭難する人はほとんどいないと思うけど…)





 序盤はゆるやかな林道を進む。
思ったより2日前の雪が残っていない。

今回はたっぷり睡眠を取ってきたのですこぶる体調がいい!
ほとんど息切れせずに余裕の足取りが続く。





 登りはじめて25分。「白蛇弁天」に到着。
今回は小型三脚を持ってきたので集合写真が撮れる。

 


 チャッチーさんが冬山の必需品「アイゼン(1680円)」を購入。
土踏まずのところだけに付けるタイプ。

このアイテムが今回の登山を大きく左右するとは
この時、予想していなかった…




 中盤に差し掛かると徐々に雪が増えてきた。
所々地面が凍結していて油断していると転んでしまう。





 ただの足跡が偉大な一歩に見える?
この積み重ねが山登りなのだ。







筑波山には見事な巨木が多い。
何百年という時を生き抜いてきた木々のエネルギーが
山中に満ちている。さすが百名山だ。




「白雲橋コース」の後半には
いくつもの巨岩が出現する。
それぞれの岩には名前がついていて祀られているものもある。



 「母の胎内くぐり」
岩の隙間をくぐることで生まれた時に立ち返るという修験の岩。



 「弁慶七戻り」
頭上の岩が落ちそうで弁慶がくぐるのに七回も戻ったという。
弁慶ってホントに強かったのか?







 山頂に近づくごとに徐々に険しくなる。

険しい鎖場を登り・・・



急斜面の岩場を乗り越え・・・





 足がびよ〜んと伸びてくると・・・




ケーブルカーの終着地点に辿り着く!
山頂はすぐそこだ。









AM 10:40

「女体山」山頂(877m)に到着。
それでは関東平野の絶景をご覧ください。


(スーパーパノラマ写真作りました。クリックで巨大化!)




 女体山から見る男体山。





散々女体山で写真を撮って満足し、
今度は男体山を目指す。 

山頂付近は雪が深く滑る箇所が多い。
うまく歩けないUさんに、チャッチーさんが
アイゼンを貸してあげていた。

山は人を優しくするのだ! 



AM 11:25

 ケーブルカーの到着口「御幸ヶ原」。
女体山と男体山の谷間に売店が立ち並ぶ。
ケーブルカーだとここまであっという間に登って来れる。



 ツルツルとスッ転んでいたらアイゼンが僕に廻ってきた。
よく見ると、周りの登山者は皆アイゼンしている。





AM 11:40
 わずか15分で「男体山」山頂(871m)に到着。
女体山との差はわずか6m。
でも景観の良さは女体山に比べるとあまりよくない。
男は女の引き立て役でよい。





 AM 11:55
御幸ヶ原に戻り待望のランチタイム!

今回は全員調理器具を持参。
僕は今回、チャッチーさんと同じストーブを購入した。

お湯を沸かし、カップラーメンを食べ、おかずを温めて食べる。
ケーブルカーで登ってきた人たちには変な奴らに見えたかもしれないが
僕らにとってはこの雪上のベンチが最高の食卓だった。




 左が、Uさんが新調したノースフェース28リットルザック。
右が、僕のノースフェース45リットルザック。
Uさんのザックは2011年モデルの新しいやつだから
僕のよりポケットの位置などが機能的に出来ている。
ノースフェースはシンプルで好きだ。













AM 13:05
 下山は「御幸ヶ原コース」から。
距離が短いため傾斜がキツイ。



 山道のほとんどが凍結状態!
一歩も踏み外せないので慎重に下りてきた。
途中チャッチーさんが「一歩ずつ」の大切さを人生にダブらせて悟ったらしく
Uさんにうんちくを語っていた。

とても良い話をしているのだが、
なぜか心に響いてこないないのがチャッチーさんの凄いところだ。







 AM 14:30
 無事、下山完了。
筑波山神社で健康祈願のお守りを買った。

今年も健康にバリバリ働いて、山に登りに行こう!




〈まとめ〉
・登山ルートは全部で5コース。登り口がそれぞれ違うので調べてから登った方がよい。
・冬山ではアイゼンは必需品。滑るものだと思っていた方がいい。
・陽の当たらない場所は−4度まで気温が下がったが歩いていると寒くはない。
・女体山と男体山、どっちかにするなら女体山をお勧めする。
  

第九登 「雲取山」2012年1月4日


「ここを歩いてみたい」

写真を見てこんなことを思うようになったら
きっと山バカになってきた証拠だろう。

2012年、最初に登る山を吟味しているとき、
誰かのブログに載っていた雲取山の尾根道の写真。
 一目惚れだった。

正月でなまった体に活を入れるためにも
東京で一番高い山「雲取山」に挑んだ。


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 メンバー:R16、チャッチーさん
 天候:晴れ
 気温:3度
 登山ルート:小袖〜堂所〜七ツ石小屋〜七ツ石山〜
       雲取小屋〜雲取山(往復)
所用時間:登り4時間45分 下り2時間35分
歩数:37,824歩(約21kmくらい)

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AM 7:30
 自宅を出発したのは早朝5時。
2時間半かけてやっと小袖の駐車場に到着した。

奥多摩湖畔の道を少しそれて山の方へ登っていくと
この駐車場に到着する。
ここまでこなくても奥多摩湖湖畔の鴨沢登山口から
登ることもできるがかなり大変。





 登山道まで舗装された道を200mくらい歩く。
朝日に照らされた山並みはとても美しい。



登山口の手前に車を3台だけ駐車できるスペースがある。

実は、登山前に雲取山のことをいろんな人のブログを見て
情報収集したのだが、どのブログにも辛い経験をした
ことが書かれていた。往復20kmを越えるルートなので
本来なら1泊するのが通常のようだ。

そうした情報を見た相方のチャッチーさんは、かなり腰が引けてる様子。
登る前から「不安だぁ」「ドキドキするぅ」と
らしくない発言をこぼしていた。

つべこべ言わずに いざ、入山!




 朝日の木漏れ日がそそぐゆるい林道を
ゆっくりと登っていく。
山頂までの高低差は1200mくらいあるのに、
いっこうに登っていかない山道…
後半に待ち受ける傾斜を想像し怖くなってくる。

正月の不摂生と寝不足のせいか、
体もだるくなかなか足が進まない。




 登り始めてからおよそ2時間。
少し開けた視界に富士山が見えた。

 

 徐々に傾斜が増してきた。

雲取山の序盤は、傾斜はゆるいが細かい石が多く、
割とのっぺりとした道が続くので
カカトに体重が乗ってしまい痛くなった。




 「ブナ坂」と「七ツ石山」の道標。
「ブナ坂」は落石事故がおこったようで危険らしい。
雲取山序盤の登山道は、このような道標が非常に少ない。
自分がどれくらい来たのか、山頂まであとどれくらいなのかが
わからないので僕らのようにはじめて登る人には不安が広がるだろう。

七ツ石山方面に進路を取ると急に勾配がキツくなっていく。




 AM 10:15
出発からすでに3時間以上。やっと「七ツ石小屋」に到着。

この小屋は宿泊も可能。ゴールデンウィークなどは
けっこう賑わうらしい。

オリジナルの山バッチが3種類あったので、
そのうちの一つを僕は購入した。
チャッチーさんはここでは買わないで山頂の方で買うつもりらしい。
それが後々裏目に出てしまうのだが…




 小屋を過ぎたあたりから、
徐々に山道が広く歩きやすい道になってくる。
山道には雪もちらほら。



AM 10:35
 ようやく「七ツ石山」山頂へ到着。
標高1,740m。 

七ツ石山山頂からの景色は素晴らしい。
雲取山の山頂を遠くにとらえ、そこへ続くなだらかな尾根道が
歩く意欲をかき立ててくれる。

冒頭に書いた「一目惚れ」は
この道のことだ。




七ツ石山から急勾配の坂道を一気に下る。
その下に、憧れた尾根道が待っている。 



 もうお気づきかもしれないが、
このブログのタイトル写真につかわれているのがこれ。
左に最高の景色を楽しみながら広々とした尾根道が続く。



「ひょうひょうとした…」
という言葉がよく似合う木。

人も木も、こうしたひょうひょうとした雰囲気に
憧れてしまう。





 雲取山の尾根道には、いくつかのコブのような丘がある。
小さいが丘を越えて進むには勾配のキツイ坂を登り下りしなければいけない。
そのため「巻道」という平坦な迂回路が用意されている。

「どうする?」

とチャッチーさんが聞いてくる。

「もちろん、キツイほうで」

と答える。
テレビでどこかの会社の社長さんが言っていた。

「キツイ方ばかり選んで仕事をしてきたら成功していた」 

確かに、巻道は一見楽だが陽が当たらないし景色もよくない。
凍結してツルツルすべる危険な道だった。

苦労して丘を登っていくと得るものは大きい。






AM 11:15
 一時休憩。だいぶくたびれてきた。

ちなみに今回新しく増えた山グッズは
ゴアテックスの「ライトスパッツ」とナイキの「ウインドブレーカーパンツ」。
ライトスパッツはズボンの裾を汚さずに済むので意外と役に立つ!





 憧れの尾根道が続く。
しばらく行くと「奥多摩小屋」が右手にある。町営らしい。
(トイレ有り)
小屋の外に見覚えのあるアニメキャラクターっぽい木の彫刻が…
もう少し精度を上げられないものか。





 前方にやっと山頂の小屋が見えてきた!
山頂に近づくごとにキツイ登りが連続していた。あと少し…
PM 12:17
登山開始から五時間弱。
山頂の「雲取山避難小屋」に到着。
振り返ると歩いてきた尾根道の向こうに
幾重にも重なる山々の絶景が広がっていた。


 雲取山山頂 標高2,017m




映画「岳」〜小栗旬の真似をする人を発見…








PM 13:25
 下山開始。
二人ともバテバテだった。

しかし、チャッチーさんが期待していた山バッチが山頂で売っていない…
本来ならショートカットできる登山道をいくはずが
どうしてもバッチを諦めきれないチャッチーさんのせいで
また七ツ石小屋へいくことに。
しかも落石によって所々崩落しているブナ坂ルートで。

ひどい目にあった。





 無事山バッチを購入し
ご満悦のチャッチーさん。
帰りも運転してもらうので怒らずに優しくしておこう。



PM 16:00
 めちゃめちゃしんどかったけど無事下山。
 お疲れコーヒーが五臓六腑にしみていく。

歩数 37,824歩
 
 歩いた距離だけなら富士山よりもある。
いつの日か、この山を颯爽と登れるようになりたいと思う。



〈まとめ〉
・小袖までは車で行けるが、バスだと奥多摩湖畔の「鴨沢」から登るルートがある。
・途中谷間から吹き上げてくる風が身を切るような寒さ。冬場は防寒をしっかりしよう。
・この日の山頂の気温はマイナス3度だった。
・山頂の小屋にはなにも売っていない。山バッチは買えるところで買っておこう!